それでは次に、日本におけるネットワークビジネスの歴史を見ていきましょう。日本で最初にネットワークビジネス企業が設立されたのは1969年4月だと言われています。それは、アメリカ資本であるスワイプ・ジャパン(1977年にホームケア・ジャパン、2000年にネイチャーケア・ジャパンと会社名を変更)です。
その後、ネットワークビジネスブームと言うべき時期が3度あります。
第一次ブームは1973年から74年にかけてです。そのブームの立役者となったのが、1971年10月に設立されたAPOジャパン、1972年に設立されたホリディ・マジックです。当時はそれらに邦人資本のジャッカーチェーンを加え、「三大マルチ」などと呼ばれました。これらの企業の特徴的な点は、販売登録や上級販売員に昇格するに当たってその都度高額な「登録料」が必要とされていたこと、商品の販売をしなくても販売員をリクルートするだけで「スポンサー料」が得られる仕組みになっていた等です。商品の販売というより、人を勧誘することに主眼を置いたマネーゲーム的要素が強かったのです。これらは、後に団塊の世代と呼ばれる多くの若者を中心に爆発的に広がっていき、73年から74年にかけてマルチ業者は300~500社、被害者は100万人ともいわれる状況となりました。この時期に「マルチ商法=悪」という図式を日本に植え付けたことになります。そのような中、1976年に、同時期に急成長を始めていた訪問販売と通信販売も含めて無店舗販売を取り締まる法律「訪問販売等に関する法律」(後の「特定商取引法」)が制定された。これらの企業は「連鎖販売取引」として規定され、当局の厳しい規制を受けることとなりました。それにより、三大マルチと呼ばれた問題企業は崩壊することになります。しかし、その後も、その企業の関係者によってマルチ商法は再興され、再び社会問題化することになるのです。また、この時期は、前述したように、「天下一家の会」によるネズミ講の被害も続出しました。このように、1970年代はマルチ商法やネズミ講といった悪質商法が横行した時代であり、それを取り締まる法律もなかったため、多くの被害者を生み出してしまいました。
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